腰椎すべり症

こんにちは!!
島田です。

今日は『腰椎すべり症』についてです。

すべり症とは・・・

背骨(脊柱)は、椎骨ついこつと呼ばれる骨がいくつも連なって構成されています。
椎骨には椎孔ついこうという穴があいていますが、椎骨がいくつも縦に連なることにより、椎孔も連なり、一本のトンネルのような脊柱管と呼ばれる空間が形成されます。脊柱管の中には神経(脊髄、馬尾)が通っています。

腰椎すべり症とは、腰の部分で椎骨が正常な位置からずれた状態をいいますが、椎骨がずれることにより脊柱管が狭くなります。それにより、脊柱管の中にある神経組織が圧迫され、さまざまな症状が現れます(主な症状は脊柱管狭窄症と同じです)。
具体的には、長い距離を歩いたり、長時間立っていたりすると腰から足にかけて痛みを生じるようになります。
また、足のしびれや麻痺まひ、排尿障害を生じることもあります。
腰椎すべり症は大別して、腰椎変性すべり症と腰椎分離すべり症の2種類に分けられます。
このうち頻度が高いのは変性すべり症です。
変性すべり症は加齢に伴い生じ、中年以降の女性に多い傾向があります。

原因は・・・

まず、分離症が先に生じます。分離症は、腰部を後ろに反らす動作や回旋運動が繰り返し行われることで腰部に過剰な負荷がかかることによって椎弓狭部(関節突起間部)に生じた疲労骨折が治らないまま分離した状態となっていることをいいます。
分離症の原因である疲労骨折は、骨の成長過程である10代の成長期に激しい運動をしている子供や、スポーツ選手に多くみられ、初期に適切な治療がなされないと分離症に移行します。
そして、分離部が乖離して椎体のずれを生じた状態が分離すべり症です。

「変性すべり症」は、中高年に多くみられます。疲労骨折がない状態でも、加齢に伴って椎間板(ついかんばん)が変性し不安定となり、椎体のずれを生じた状態が変性すべり症です。分離すべり症に比べて脊柱管狭窄を伴うことが多いという特徴があります。

症状は・・・・

腰痛が生じやすく、腰を後ろに反らす動作など、分離部分に負荷が掛かる動作で痛みが増強します。
分離部などで神経根(しんけいこん)への圧迫が生じてくると、下肢の痛みやしびれなどを生じることもあります。

一方で、分離症を伴わない「変性すべり症」では、脊柱管狭窄を伴い易いため、中を通る神経根や馬尾神経が圧迫され下肢の痛みやしびれ、間欠跛行(かんけつはこう)、排尿障害などの症状が見られます。

この様に脊椎すべり症では、すべりの不安定性の程度、椎間あるいは分離部の変性の程度、神経圧迫の部位や程度などにより、腰部から下肢にかけての種々の症状が出現します。

治療方法は・・・

一般的な腰椎すべり症(腰椎変性すべり症や腰椎分離すべり症)では、最初は間欠跛行や疼痛、しびれが主な症状で、運動麻痺をみとめることは多くありません。
そのような場合、まず、理学療法、薬物療法、装具療法などによる治療を開始します。

こうした治療が奏効しない場合にはブロック注射を行います。
保存療法で十分な効果が得られない場合、筋力低下がある場合、形成不全性すべり症などでは手術的な治療が行われます。

初期治療としては、腰痛に対して消炎鎮痛薬や筋弛緩薬などを処方し、症状の軽減を図ります。脊柱管狭窄によって馬尾神経が圧迫されて生じる下肢痛やしびれなどの症状に対しては、馬尾神経の血流を促進する末梢循環改善薬や神経障害性疼痛治療薬が処方されます。その他の保存療法として温熱療法や牽引けんいん療法、また痛みに対して神経ブロック療法を行うことがあります。

温熱療法:腰部の筋肉を温め、さまざまな症状の改善を図る治療です。
牽引療法:縦方向に腰部を引っ張る医療機器で腰部を伸ばし、さまざまな症状の改善を図る治療法です。
神経ブロック療法:原因となっている神経や部位に薬剤(局所麻酔薬)を投与し、痛みの軽減を図ります。長期間にわたり疼痛とうつうが消失することもあります。
薬物療法、理学療法(腰椎の牽引・温熱療法)、神経ブロック療法などを行っても症状が改善しない場合には、手術療法が選択できます。

具体的な手術療法は、腰椎の「ずれ」の程度や「動き」(不安定性)の程度を考慮し、決定します。神経の圧迫を解放する方法(除圧術)と、除圧に追加してずれ(すべり)を矯正し、腰椎を固定する方法(固定術)があります。

 

 

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